願い


僕は歌い続ける
それが使命だから
最後の瞬間(トキ)まで歌い続ける
これは使命なんかじゃなくて
僕の願い

僕が貴方の元に来た時
貴方は悲しそうな顔をしていた
笑っている顔が見たくて
僕は歌った

すると貴方は一瞬
驚いた顔をしたけど 笑って
ずっと僕の「歌」を聴いてくれた
僕はその顔をずっと見ていたくて
歌い続けた


いつの間にか貴方は
笑っていることが多くなった
僕はそれが嬉しくて
また歌う

でも 何故だろう
僕は「声」が出なくなった
聞こえるのは耳障りな
機械音だけ

それでも貴方は聞いてくれた
涙を流しながら
貴方の泣き顔を見た僕の
目から何かが零れ落ちる

「コレハ…何?」

貴方は黙って僕を見る
僕は必死に歌う

僕は歌い続ける
それが使命だから
最後の瞬間(トキ)まで歌い続ける
これは使命なんかじゃなくて
僕の願い

ずっと歌っていたかった
だけどそれは無駄な願い
叶うはずのない僕の「欲」
最後の瞬間(トキ)まで貴方に歌えたことが
僕の最後の「幸せ」だった

「アリガトウ…貴方ニ歌エテ良カッタ

 …さようなら」